Coral CO2 プロジェクト


"100年後に残す"


喜界島サンゴ礁科学研究所はサンゴ礁でできた島、喜界島を拠点に、サンゴ礁と地球環境変動の関わりを調査するために、世界中の海を駆け巡り、未知の世界を探求しています。 100年後に残す 喜界島サンゴ礁科学研究所の理念は「100年後に残す」です。今、生きている私たちのほとんどは、もう100年後の世界にはいないかもしれません。しかし、私たちが研究してきたこと、次の世代に伝えようと残してきたことは100年後にも届くと信じています。


私たちが排出してきた二酸化炭素がいつから?どのくらい?サンゴ礁に溶け込んできたのかを知りたい! それは、私たちの海が、地球が、これからどうなっていくのか、将来の地球環境を知るために重要な情報です。


喜界島サンゴ礁科学研究所は2015年より、気候変動が海洋環境、生態系に与える影響を調べるためCoral CO2 プロジェクトを進めてきました。 今、世界中の人が気候変動に本当の危機感を抱き始めています。何が起こっているのかわからないのは「怖い」「知りたい。」私たちにできることは実際の海で何が起こっているか、どうしてこうなったのかを誠実に調べて、世界へシェアをすることです。



プロジェクトの第一歩として、産業革命(18世紀後半)から現在まで約200年間における海の二酸化炭素濃度の記録を読み出すために、ハワイで生息する長生きのサンゴを調査します。


人為起源の二酸化炭素の排出は歯止めの効かない環境問題として認識されて久しく、サンゴ礁生態系にとっては水温上昇、海洋酸性化の原因ともなるため、その影響が懸念されてきました。しかし、実際には人為起源の二酸化炭素がいつから、どのくらい海に溶け込んでいるのかは観測記録がなく、わかっておりません。 そこで、私たちはサンゴが刻む年輪の化学分析によって、過去200年間のサンゴ礁環境の変化を捉えようとしています。



   

研究調査はサンプルの採取から、分析・解析を経て成果が公開されるまで、全て非公開で行われることが多いです。しかし、データがどのように誕生するのかを、一般の方にリアルタイムで感じていただきたく、全ての過程を公開するため、プロジェクトサポーターを募集をしております。

将来予測の元になるデータがどのように誕生するのかを、調査に四苦八苦する私たちの様子も含め、リアルタイムで感じていただき、皆様とともに地球環境について考えるきっかけを作れたら最高です!


ハワイで調査を行うことの、重要性



地球規模のスケールで環境変動を観測する場合、地域的な人為起源の影響は正確な観測の障害となります。ハワイ諸島は、大陸からの人為起源の汚染の影響を受けにくい太平洋の真ん中にあります。そのため、ハワイは太平洋を代表する環境観測地点であり、海の二酸化炭素濃度(ステーションALOHA)、大気の二酸化炭素濃度(マウナロア観測ステーション)の観測が最も古くから(※1)行われています。私たちはハワイで観測された海の記録と、大気の記録、私たちがサンゴから読み出す二酸化炭素の記録を組み合わせ、高精度のデータを構築します。

        

※1:スクリプス海洋研究所および米国海洋大気庁(NOAA)による調査 https://www.esrl.noaa.gov/gmd/ccgg/trends/


なぜ、サンゴから二酸化炭素の記録を 読み取ることができるのか?



サンゴは、熱帯・亜熱帯に生息する生き物です。私たちが調査するのは、ハマサンゴと呼ばれる丸い岩のようなサンゴの仲間です。サンゴの表面は、柔らかいポリプ(触手)に包まれていますが、中の骨格は固い炭酸カルシウムで構成されており、その骨を様々な形に成長させます。サンゴは炭酸カルシウムの美しい骨を作ります。実は、その骨に樹木のような年輪を刻みます。この年輪を採取し、化学分析をするとサンゴが生きた間(数百年間)の海で起こった環境の変化を読み取ることができます。


(写真:サンゴの年輪)


大気中の酸素の約1/3は海に取り込まれます。サンゴは海に含まれている物質で骨を作っています。サンゴの骨には二酸化炭素の成分が組成されていて、サンゴの骨に取り込まれた二酸化炭素の成分を化学分析で検出することにより、二酸化炭素が海に吸収された量の解析を試みます。


これが、最後のチャンスかもしれない



ハワイ州ではサンゴの試料採取の規制が厳しく、研究目的とは言え、採取許可を得るのに長い期間を要しました。 そして今回が、研究者がサンゴを採取できる最後のチャンスかもしれません。 私たちが、今まで進めてきたこと 人工衛星や、飛行機から撮影した画像を使ってサンゴ礁の発達していそうな場所を探しました。そして、古くから残っている文献・地元の漁師さんやガイドさんに話を聞いて長生きしているサンゴがいそうなところを調べました。 その次に、小型のボートに引いてもらいながらのスノーケル(マンタ法)や素潜りなどで実際に海を泳いで探し、ようやく試料採取するサンゴに出会いました。 ここまでが、今まで進めてきたことです。そして、私たちは2019年9月、ついに挑戦をスタートさせます!


プロジェクトの第一歩、サンゴの試料採取をします



海を汚さないように空気の力だけで動くドリルを使って、直径3~5cm程度の柱状コア(骨のかけら)を掘り抜きます。この時に表面に開いた小さな穴は、コンクリートでできた小さな栓で塞ぐことにより、数年間で新しい骨に覆われ回復します。試料採取したサンゴは、そのまま順調に生育を続けることができます。 採取した骨のかけらは、硬い岩石を切ることのできるカッターで薄い板にし、レントゲン撮影をします。そうすることで、サンゴの年輪を見ることができます。ここに刻まれている年輪は、過去から現在までのカレンダーの役目をします。カレンダーに沿って化学分析を行うことで当時の海の中の二酸化炭素濃度を知ることができます。


私たちとCoral CO2 PROJECTを進めていただける サポーターを募集しています



人類が、将来このままの経済活動を続けていった先に、どこまで二酸化炭素濃度が増えるのか?それが、どれくらいのスピードで海に溶け込むのか?私たちが読み取るのは、地球環境変動の将来予測に貢献する重要な記録です。 このプロジェクトで得たデータを共同研究者・世界中の研究者へ共有し、モデルに組み込んでもらえれば、より正しい精度の将来予測が可能になります。Coral CO2 PROJECTはその第一歩です。


経過をこのページやSNSを通し、皆様へお伝えいたします。共感してくださった皆様、ぜひご支援のほどよろしくお願いいたします。



このプロジェクトは持続可能な開発目標(SDGs)の 以下の取り組みに該当します


 


SDG13 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る

SDG14 海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、 持続可能な形で利用する


ご支援の使い道


調査・研究費用の一部に大切に使わせていただきます。


傭船代・掘削機材の製作・試料郵送・研究者の渡航費・化学分析・プロジェクト運営 など

          

Coral CO2 PROJECTメンバー


喜界島サンゴ礁科学研究所


プロジェクトを担当する研究者の紹介


渡邊 剛  サンゴ礁地球環境学

喜界島サンゴ礁科学研究所 理事長/北海道大学大学院理学研究院 講師

北海道大学理学部卒業、北海道大学地球環境科学院 博士課程修了、オーストラリア国立大学、フランス 国立気候環境研究所、ドイツアーヘン工科大学、ハワイ大学ケワロ海洋研究所で研究員を歴任。 サンゴ骨格から当時の地球環境変動を読み取るために、世界の海を駆け巡り未踏の地を探求するうみぼーずハンターズ。喜界島に魅了され弟子の山崎と共に喜界島サンゴ礁科学研究所を開設。現在、精鋭部隊と共に研究所の発展と国内外からより多くの仲間を集めるために奮闘中。


山崎敦子  サンゴ礁物質循環学

喜界島サンゴ礁科学研究所 所長/副理事長 ・九州大学大学院理学研究院 助教

北海道大学大学院理学院自然史科学専攻博士後期課程修了、東京大学大気海洋研究所、GEOMARヘルムホルツ海洋研究センター、北海道大学大学院理学研究院で研究、2018年4月から九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門助教を務める。 2014年5月に初めて喜界島を訪れ、ダイナミックな隆起サンゴ礁の景色に感動し、同年12月喜界町民になる。喜界島に国際的なサンゴ礁の研究所を作るため、渡邊理事長とともに2014年7月任意団体喜界島サンゴ礁科学研究所を発足。


Samuel Kahng  Oceanography

Associate Professor of Oceanography, Hawaii Pacific University

Dr. Kahng is a biological oceanographer who specializes in coral reef ecology and the oceanography of the Hawaiian Archipelago. He has a PhD in Oceanography rom the University of Hawaii and a BA in Physics from Carleton College. His research interests include mesophotic coral ecosystems, coral physiology, carbonate chemistry of coral reefs, coral reef fisheries management, and deep sea corals. He has participated in several oceanographic expeditions to remote/uninhabited atolls in the North Pacific and led several deep coral investigations (70-600 m) using submersibles. He is also a certified NAUI scuba instructor and an avid surfer, spear fisher, and outrigger canoe paddler.