洋上大学

洋上大学構想

私たちはサンゴ礁研究を進める中で、解決に100年単位の時間を要する課題に直面してきました。これらを未来へと引き継ぐためには、次世代のリーダーを育成し、彼らが継続的に取り組める環境をつくることが不可欠です。喜界島は世界有数のサンゴ礁研究の拠点であり、地球規模の環境変動と地域固有の課題が交錯する「生きた学びの場」です。本物のフィールドには、課題を発見し、次世代のトップリーダーを育てるための要素が凝縮されています。実際に私たち研究者が喜界島に拠点を置き、子どもたちや地域住民と教育活動を行ったことで、住民自らが地域の魅力を再発見し、それを発信する町づくりへと発展しました。その活動に呼応して全国各地からアーティストや人文・社会科学の研究者が集まり、分野を超えた共創の場が生まれています。

洋上大学構想

サンゴ礁は地球環境課題に分野横断的に取り組むことができる希少なフィールドであり、生物多様性や地形が育む価値は、天然の防波堤のように未来の可能性を守り続けています。ここで展開される科学・アート・社会コミュニティの融合は、広い視野を持ち、感性とコミュニケーション能力を兼ね備えた次世代イノベーターの育成につながります。
「洋上大学」は、まずサンゴ礁科学という私たちの強みを基盤に据え、最先端の科学に触れる体験を提供します。さらに、科学とアートを掛け合わせることで新たなコンテンツを創出し、教育・研究・地域づくりを一体的に進めていきます。その活動は喜界島を核として奄美群島へ、さらに国内各地や海外の拠点形成へと水平展開され、すでに複数の地域で準備が始まっています。「洋上大学」は、地球規模の課題に挑むフィールド型学習と共創のプラットフォームとして、未来を担う人材を育て、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

第一回サンゴの方舟-洋上大学-

洋上大学による未来集合知の創造我々は、時間と空間を超えるサンゴの方舟(洋上大学)に乗り込み科学とアートと地の融合により未来を変えていく

サンゴは、5億年の間、その姿と役割を変えることなく現在に存在する。一匹のサンゴが海底に固着して分裂して群れになり、やがては、サンゴ礁として生物多様性を維持するプラットフォームとなり我々の生活を支える。その多様性は地球の環境が変わっても適応できる可能性となる。我々は、ある満月の夜に卵を放ち海流に乗って拡がっていくサンゴのように、帆船で風に乗り喜界島から大阪を目指す。年間2mmの速さで過去10万年間隆起を続ける喜界島は、2万年間のスケールでの地球環境変動や千年スケールの地震により、隆起を繰り返してきたサンゴ礁段丘があり、そこに8千年間のヒトの歴史が重なる。人々は自然のサイクルを生活や身体感覚に落とし込ませながら文化的な多様性が維持されている。

Deeper leads wider、我々は、研究者、アーティスト、地のもの、若きもので構成される。それぞれのもつ知恵と勇気、可能性を船内で混ぜ合わせながら進む。魅力溢れる寄港地では、新たな仲間が加わり輪は大きくなっていくだろう。新たな価値が生まれ強い重力が発生するはずだ。そしてそれは、時空固定装置、とも呼べるものになるかもしれない。我々は動かない。動くのはむしろ周りの環境であり社会かもしれない。それは僕が喜界島で感じていた感覚に近いものなるだろう。喜界島を出港したとたんに、船酔いと共に起こる眩暈は時空の歪みと重なる。深い山と森が紡いできた自然とヒトの共生態である屋久島、変化する現在の海を巡る竜串、ヒトの記憶の密度が高い犬島、未来を模索する夢洲が向こうからやってくる。天保山に着岸するころには少しだけ自分がそして自分を取り巻く未来がかわっているはずだ。

サンゴの方舟による洋上大学は、未来のための知の集積装置であり壮大な実験場になる。

人新世と呼ばれ気候変動と社会変動が相互に結びつく現在において、我々は、新しくより共感できる未来のモデルを次の世代に向かって示す必要がある。科学者、アート、地を基盤に生きてきたものは、深く掘る人たちであり、領域や場所に居続けることができる人、つまり失敗をしない人である。また、それぞれの前線や先端にいるからこそ、わからないと言える柔軟な心をもつ人である。故に、懐が深い人たち。主体と客体、主観と客観が船内で交差する。自分は観測者であり、客観性や再現性を担保しそれ故に評価可能とする科学、自身を通じた身体性、感性、感情を通じて表現するアートが、地という動かないもの上で交錯する。それぞれの歴史性、知性、感性、身体性を用いて、深く掘っていく能力がある人たちにの化学反応により、新しい重力が生まれる。そこに次世代の若きもの、あるいは、自己の中の可変領域を置くことにより、未来が集合的に立ち現れる。

サンゴの方舟ー洋上大学、主席 渡邊 剛

首席 渡邊 剛
総合地球環境学研究所 准教授
喜界島サンゴ礁科学研究所 理事長

北海道大学理学部卒業、北海道大学地球環境科学院 博士課程修了、オーストラリア国立大学、フランス 国立気候環境研究所、ドイツアーヘン工科大学、ハワイ大学ケワロ海洋研究所で研究員を歴任。サンゴ骨格から当時の地球環境変動を読み取るために、世界の海を駆け巡り未踏の地を探究している。喜界島に魅了され弟子と共に喜界島サンゴ礁科学研究所を開設。現在、研究所の発展と国内外からより多くの仲間と学生を集めるために奮闘中。

ディレクター 山崎 敦子
名古屋大学大学院環境学研究科 講師
喜界島サンゴ礁科学研究所 所長

北海道大学大学院理学院自然史科学専攻博士後期課程修了。
博士(理学)。サンゴ礁の形成、海の物質循環、気候変動を対象に研究している。東京大学大気海洋研究所、GEOMAR、北海道大学、九州大学で研究・教育に従事し、2022年から名古屋大学大学院環境学研究科講師。 2014年5月に初めて喜界島を訪れ、ダイナミックな隆起サンゴ礁の景色に感動し、同年12月喜界町民になる。喜界島に国際的なサンゴ礁の研究所を作るため、師匠とともに喜界島サンゴ礁科学研究所を設立。

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『サンゴの方舟』プロジェクトおよび喜界島サンゴ礁科学研究所の活動にご賛同いただけるパートナー企業・団体・個人を募集しています。
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