Center on Aging and Health(C A H) in Kikai Institute For Coral Reef Sciences
健康長寿センターとは?
サンゴ礁が多く分布する鹿児島の離島や沖縄は長寿の島として有名です。長寿の島となった要因の1つがサンゴ礁ではないかと考えて私たちは調査研究を行なっています。サンゴ礁が人々の健康に与える影響を調べています。
現在のプロジェクト紹介
カルシウム摂取と骨密度調査
【背景】
喜界島に滞在中に火葬場でご遺体の骨が燃えきれず残ってしまうといったエピソードを多く耳にしました。長寿の島であった秘密の1つは、島民の骨密度に秘密があるのではないかと考えるようになりました。隆起サンゴ礁で形成された喜界島に暮らす人々は飲料水や食事からのカルシウム摂取量が多い為、骨粗鬆症の有病率が低く寝たきりの高齢者は少ないのではないかと考えています。
一方で、喜界島では水道水の高カルシウム濃度が社会問題となっています。これまで疫学研究はされていませんが、喜界島の島民の皆さんはカルシウム濃度の高い水道水(硬水)を使用するため、胆石や尿路結石の有病率が高いと感じています。実際、島民の皆さんは水道水からのカルシウム摂取が胆石や尿路結石の原因となるのではないかと心配しており、自宅の水道水ではなくカルシウム濃度の低い飲料水(軟水)を購入し生活をしています。カルシウム濃度の低い飲料水の摂取が続けば、カルシウム摂取量が低下し将来的に喜界島の骨粗鬆症の有病率が増加する可能性もあるかもしれません。
また、全国的に女性の閉経後のカルシウム不足による骨粗鬆症やサプリメントによるカルシウム過剰摂取はともに社会問題となっています。しかし、閉経後の女性の至適なカルシウム摂取量を解明する研究はあまりありません。本プロジェクトで得た知見は、島民の健康を増進するだけでなく、閉経後の女性の適切なカルシウム摂取量の解明にも寄与すると考えています。
(日本学術振興会 科学研究費助成事業 https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000040869038/)
【これまでの調査結果】
2022年度から調査を開始し、喜界島と徳之島(伊仙町)でおよそ250人の60歳以上の女性の方に研究に参加して頂いています。半数の方はカルシウム過剰摂取を心配して水を購入していました。参加者の骨密度は全国平均よりも高く、80歳以上ではさらに骨密度が高い傾向があることが分かりました。
医学フィールドワーク(医療系学生対象)
喜界島サンゴ礁科学研究所では、多くの他分野の研究者や行政と協力しながらプロジェクトを進めることが出来ることは魅力的です。ぜひ、医学生にも喜界島での研究の楽しさを知ってもらいたいと、2023年度から医学フィードワークを開催しています。初年度は台湾と日本の合同チームにより、島野菜や飲料水のカルシウム濃度測定や島民の皆さんへの飲料水に関する聞き取り調査を行いました。
メンバー
安西耕 (東京都立多摩総合医療センター、国立がんセンター)
西村千尋(歩健学研究室,元長崎県立大学)
学会発表(2023年度)
2023年6⽉16-18⽇ 日本生理人類学会
2023年9月29日-10月1日 日本骨粗鬆症学会
2023年10月28日 日本ウォーキング学会
2023年10月31日-11月2日 日本公衆衛生学会
活動
下記の最新の予定はXで配信します。
今後の調査・住民報告会予定
2023年12月20-22日 喜界島の骨密度調査
2024年2月27日徳之島(伊仙町)住民報告会
2024年2月29日喜界島(喜界町)住民報告会
2024年3月1-5日 医学フィールドワーク(喜界島)
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